字幕翻訳はドラマや映画、動画などの作品を言葉の壁を越えて、多くの人を魅了するエンタテインメントです。また近年、動画配信サービスの普及により、字幕翻訳の需要が高くなってきています。字幕翻訳者として、言葉の壁を越えて手かけた作品を世界中の人々に届け、新たな感動や発見を提供し共有することに喜びを感じています。
この記事では字幕翻訳というお仕事の魅力、字幕翻訳のやり方や未来などについて、字幕翻訳に興味がある方、ドラマや映画、動画が好きな方、語学スキルをアップしたい方、スキルを活かしたい方にとって、参考になる情報になれば、嬉しいです。
字幕翻訳とは?
字幕翻訳とはドラマや映画、動画などの映像を別の言語に翻訳し、字幕として表示するお仕事です。様々な映像作品をより多くの人に届ける架け橋となる重要な役割を担っています。
字幕翻訳の国家資格はありませんが、翻訳トレーニングセンター字幕翻訳技能検定やアカデミー字幕翻訳検定といった民間の団体が認定する資格があります。
字幕翻訳の仕事は、フリーランスとして行うこともできますし、翻訳会社に就職することもできます。また近年、動画配信サービスの普及により、字幕翻訳の需要がますます高まり、字幕翻訳の仕事も増えています。
一般文字翻訳と字幕翻訳、徹底的な違いは一般文字翻訳の一部(固有名詞・固定用語)はAIツールを使えば、ある程度完成度の高い翻訳結果は得られますが、言葉のニュアンスが重要とされる字幕翻訳はAIツールに頼ることが難しいです。
字幕翻訳の役割
字幕翻訳は単に台詞を別の言語に置き換えるだけではなく、様々の役割を担っています。
- 視聴者の理解を助ける:映像の内容を分かりやすく伝え、視聴者が作品をより深く楽しむことができるようにする
- 外国語学習者への教材:語学勉強している人からしたら、海外の音楽や番組などのコンテンツは欠かせない教材の一つです。教科書などのテキストでは勉強できない言葉や、よりディープな情報はやはり海外映像作品になるでしょう
- 異なる文化を持つ人々への理解の促進:異なる文化圏の作品の場合、視聴者にわかりやすくするために、文化的な背景説明などを加える。
- 作品の魅力を伝える:ユーモアや風刺などのニュアンスを表現し、作品の魅力を損なわないように翻訳する
字幕翻訳の難しさ
字幕翻訳は限られた時間の中で、正確かつ自然な字幕を作成する必要があるのは当然のことです。
また、以下の点にも注意する必要があります。
- 読みやすさ:字幕は画面の下部に表示されるため、1行あたり6秒以内を目安に作成する必要があります。
- 視認性:字幕は白黒反転など、見やすい色で表示する必要があります。
- 文化的なニュアンスと慣用句:異なる文化圏の作品を翻訳する場合、文化的背景を考慮した表現を選ぶ必要があります。すべての言語はその国の文化が反映されているため、慣用句や諺などを言及する翻訳は難しいと言われています。
- 視聴者の多様性:様々な年齢層、国籍、背景を持つ視聴者に配慮しなければ、ならない
字幕翻訳の基礎知識・やり方
字幕翻訳は、主に以下の手順で行われます。
- 映像の視聴:作品全体を理解し、字幕が必要な部分を把握します。
- 台詞の書き起こし:映像の音声を聞き取り、台詞を書き起こします。
- 翻訳:台詞を別の言語に翻訳します、
- 時間調整:字幕の長さを映像のタイミングに合わせて調整します。
- 文化的な背景説明を加える:必要に応じて、文化的な背景説明などを加え、視聴者が理解できない文化的要素を字幕で説明します。
- 校正:脱字誤字や不自然な表現がないか文法やスペルミスなどをチェックします。
字幕翻訳の仕事は一見ただの台詞を翻訳して、映像に合わせて時間調整するだけのように感じますが、実は文化的背景など複雑の要素も考慮しないといけない仕事です。
字幕翻訳の魅力
字幕翻訳の醍醐味であり、最も重要なポイントとも言えるのは原作言語の作品の魅力を損なわずに、ユーモアや風刺的な表現も適切に他言語に翻訳し、字幕で観る人でも笑えるようにしないといけないところでしょう
また、その背景や過程が違っても、翻訳側と利用者側の両者から感じる字幕翻訳の魅力は同じではないでしょうか!観る人の持つ感性にもよりますが、字幕翻訳を通して様々な作品を深く理解することができ、様々な角度から物事を見ることができるようになり、自然と視野を広げることができます。
国際交流や海外旅行が盛んになった今、異なる文化や価値観に触れたいと思っている方がかなり増えていて、もちろん旅行や留学といった方法で実際、現地に訪れたりして体験するのも良いのですが、現地のディープな部分を深く理解するまで結構、時間がかかります。こういう時には、やはり映画、ドラマや動画などの映像が欠かせないです。
また、遠出しなくても、短時間で世界中の人々と繋がれるのが字幕翻訳付き映像の最大の魅力です。
字幕翻訳者が求められるスキル
一般翻訳と違って、字幕翻訳者になるためには、以下のスキルが必要とされている
- 言語能力:翻訳対象となる言語だけではなく、日本語も高いレベルで理解する必要があります。また理解だけではなく、それぞれの言語による表現力も必要です
- 文化理解:異なる文化圏の作品を理解し、それぞれ対象となる国の文化や習慣を理解していて、適切な表現を選ぶ力も必要です。
- 視聴者目線:視聴者が理解しやすいように、分かりやすく簡潔な字幕を作成する必要があります。
- 情報収集能力:作品に関する情報を収集して理解した上、翻訳に活かす必要があります。
- コニュニケーション能力:ネイティブスピーカーとコミュニケーションを取れる力
翻訳通訳に関する豆知識
言語や言葉というのはコミュニケーションをとるための手段です。しかし、ある言語を他言語に変換するために(翻訳通訳するために)難しい場合があります。それは、それぞれの言語が持つ文化背景、語彙の数、文法の規則などが異なるため、それが翻訳通訳が最も難しいと言われている要因です。
- 文法と語順の違い:翻訳の際に大きく影響する可能性があります。特に字幕翻訳の際に表示されている言葉を前後する可能性もあります。
- ニュアンスと慣用句:世界中に存在する言語にはその文化背景が反映しているため、慣用句や諺などの翻訳が特に難しいとされています。
翻訳や通訳を利用する際によく耳にする「直訳」と「意訳」はこれが原因です。言葉や文字通りに訳すると意味の全く違うものになり、誤解を引き起こす可能性すらあるため、翻訳通訳における文化的背景の理解がとても重要です。 - 複雑な言葉や専門用語:専門知識が必要とされる専門用語や業種によっての特殊な業界固定用語が含まれる文書は難しいと言われています。例えば、法律に関する文書や医療関連など、それぞれの分野で使われている特定の用語のことです。
様々な要素が絡み合っていて、断言することはできないのですが、一般的に難易度が高いとされている言語をいくつかを紹介します。
- 中国語:漢字や声調の区別、方言の多様性などで、習得するのに時間がかかります。
- アラビア語:文字体系や文法の構造が大きく異なるため、習得が難しいと言われています。
- ハンガリー語:独特な文法構造や語彙数の多さで習得が難しいと言われています。
- フィンランド語:複雑な文法構造を持つため、習得が難しいと言われています。
- アイスランド語:他のヨーロッパ言語とは異なる文法構造や語彙を持つため、習得が難しいと言われています。
- 日本語:漢字、カタカナ、ひらがなを含む3つの異なる文字を使用する日本語、また、敬語の表現や独特の文法構造が理解するのが難しいと言われています。
- 韓国語:ハングル文字が独特で、日本語とはまた違う敬語の表現が理解するのに難しいと言われています。
翻訳通訳には様々な要素に影響されるため、複雑で難しいと言われています。同じ母国語者同士でも意思疎通ができないことがよくあります。その決定的なズレはそれぞれ持つ価値観や理解力の違いだと思います。それが他言語となるとなおさらです。
一般的、翻訳通訳は学歴や語学力が基本であり全てだと思われがちですが、実は、翻訳通訳者の人生経験は翻訳通訳の質にも関わってきます。とても重要なポイントと言えるでしょう〜
字幕翻訳の未来
AI翻訳の発展により、翻訳の仕事の一部が自動化される可能性がありますが、AI翻訳では人間のニュアンスを表現することが難しい場合が多いため、今後も字幕翻訳者の需要はなくなることはないでしょう。
まとめ
字幕翻訳は、奥深い世界であり、チャレンジし甲斐のある仕事です。ドラマや映画などの映像作品を多くの人に理解し、楽しんでもらうために、重要な役割を担っています。また字幕翻訳を通して世界と繋がる喜びを感じられる仕事でもあります。